熱帯魚は生き物です。私たち人間同様、生き物に付きものなのが病気です。私たちが大きな環境の変化で体調を崩すのと同じように、熱帯魚も環境が大きく変わると病気にかかりやすくなってしまいます。ここでは熱帯魚が病気になる理由や病気の種類、予防法などについてご紹介します。お魚は小さな生きものです。一度病気にかかってしまうと、記事にある方法で対策しても、治らずに死んでしまうこともあります。その点をご理解頂き記事をお読み下さい。

熱帯魚はなぜ病気になるの?

熱帯魚イメージ

熱帯魚にとって水槽の中は閉鎖的な環境です。病気になるかならないかは、飼育する私たちの管理方法や扱い方にかかっています。しっかりと見てあげれば、いつまでも健康で私たちを楽しませてくれるでしょう。逆に良くない環境になっていると病気になってしまいます。
ここからは病気になる主な原因の一例をご紹介します。

原因1)急激な水温変化

急に暑くなる春から夏、急に寒くなる秋から冬にかけ、気温が急激に上下すると水温も急激に変化します。急激な水温変化はお魚たちに大きなストレスを与え、それが病気の原因になります。1日2〜3度の水温変化でも、お魚にとっては大きなストレスです。

原因2)水質悪化

pH値や亜硝酸濃度など、水質を確認する指標がいくつかあります。フードの与えすぎなどによる水質悪化はすぐにわかりますが、見た目ではわからない水質悪化もあります。試験紙や水質をチェックする機械を使って定期的に数値を計測し、お魚たちの健康に良い水質環境をめざしましょう。

原因3)病気のお魚が水槽に加わった

混泳水槽で新しい熱帯魚を加える時、気をつけないといけないのが病原菌の持ち込みです。病気を持ったお魚を一匹でも水槽内に入れてしまうと、もともと水槽にいたお魚に病気が伝染することがあります。購入される時にきちんとトリートメントと呼ばれる病気チェックをしているかを確認しましょう。

原因4)フードの与えすぎ

お魚たちがカワイイと、ついフードをたくさんあげてしまいがちです。このフードのあげすぎが実は、お魚にとって良いことではありません。フードのあげ過ぎは肥満や消化不良につながり、それが健康にも悪影響を及ぼします。しかも、食べ残しのフードが増えると水質悪化を引き起こします。さらに、たくさん食べることでフンの量が増え、これもまた水質悪化の原因となります。そしてこれらがすべて、お魚たちの病気の原因となります。

原因5)過密飼育

群泳する熱帯魚は美しいですが、混み合いすぎるとお魚にストレスが溜まったり、お魚が傷つく可能性が出てきます。私たちと同じようにストレスが溜まると免疫力が落ち、病気にかかりやすくなります。過密飼育は、お魚たちにとって大きなストレス要因です。群泳する数の目安は、お魚の大きさにもよりますが、一匹あたり1〜2リットル程度で考えましょう。

原因6)スレ傷

過密飼育で魚同士が衝突したり、ガラス面を叩かれたりして驚いた結果、流木やオブジェへの激突が発生するとお魚にスレ傷ができます。スレ傷から細菌が入ると、病気は急速に進行します。

たくさんある!熱帯魚の病気

熱帯魚が病気になると、多くが外見に異常が出ます。熱帯魚がかかる主な病気と症状、治療法を簡単に説明します。

1)白点病

体表やヒレなど、全身に白い点が出現する病気です。最初は白い点の数が少なくても、病気が進行すると白い点が増えます。
多めの水換えをし、1~2週間、治療薬(メチレンブルーやグリーンFリキッド)で薬浴をします。しかしお魚の体に寄生している白点虫には薬の効果はなく、水中を遊泳している子虫の状態にしか効果がありませんので、水温を28℃~30℃に加温し、白点虫をお魚の体から離れさせて、早く子虫を産生させることが効果的な治療につながります。また病状を確認したら早めに投薬することが有効です。
フレッシュリーフを除いて魚病薬は水草の育成に影響が出ることがあります。また、ろ過材に活性炭を使用している場合、薬の成分が吸着され効果が弱まることがあるので、薬浴中は活性炭や吸着剤は使用しないでください。その他に、薬の成分はろ過バクテリアに影響を与え、ろ過能力が低下している場合もありますので、薬浴中は控えめにフードをあげてください。

2)尾ぐされ病(口腐れ病)

尾ひれがただれて溶けていく病気です。進行するとどんどんヒレが溶けていき充血します。尾ひれではなく口周辺が白くなって溶ける口腐れ病も同じ病気です。治療としては、別容器で治療薬(ニューグリーンFやグリーンFリキッド)で薬浴をします。病気が発生した水は全て捨て、水槽内も掃除してください。 薬浴している間はエアレーションを行いなるべく絶食させてください。

3)転覆病

その名の通りお魚がひっくり返ってしまう病気です。病気になってもこのまま生き続けることも少なくありません。転覆病は治療が難しいとされていますが、水質を改善することをまずは第一に考えましょう。次に、早期発見であるなら、エサの与える量を減らし消化を促します。そして別の水槽(バケツでも可)にお魚を移し、塩浴させます。濃度は0.5%程度に調整しましょう。10Lの飼育水に対して50gの粗塩が必要です。魚の様子をじっくり観察し、徐々に回復しているようなら完治の見込みが出てきます。完治してから水槽に戻しますが、転覆癖がついたお魚はここからまた発症することがあります。治療には根気が必要です。

4)穴あき病

こちらもその名の通り体表に穴が開く病気です。進行すると筋肉が露出するなど、痛々しい見た目になる病気です。穴あき病のお魚を見つけたら、0.5パーセントの塩浴状態にして体力を回復させ、『グリーンFゴールド』での薬浴をおすすめします。

5)イカリムシ病

イカリムシがお魚の体表に突き刺さって寄生する病気です。『リフィッシュ』がイカリムシ駆除に用いられますが、効果は水中のイカリムシの幼生駆除まで。お魚に寄生した成虫や卵には効果がありません。そのため、2週間間隔で2〜3回は散布しましょう。

病気を予防するには?

お魚たちの病気と治療法をいくつかご紹介しましたが、一番良いのは病気にならないよう予防することです。その方法をいくつかご紹介します(あくまで一例です)。

1)水温を一定に保つ

熱帯魚が一番嫌うのは、頻繁に水温が変化することです。1日で2〜3度水温が変化するだけで、お魚たちは大きなストレスを受けます。日頃からヒーターなどで水温管理しているなら問題ありませんが、意識的に水温をチェックするようにしましょう。水換えをする時の水温変化にも注意が必要です。

2)フードを与えすぎない

フードを与えすぎるのは、食べ残しで水質は悪化、食べ過ぎで健康悪化、食べ過ぎによるフン増加で水質悪化など、エサの過剰投与は多くの弊害がありますので注意しましょう。

3)水質管理をきちんとする

先述の水温と同じぐらい大切なのが、酸性、アルカリ性を示すpH値です。熱帯魚の場合は、一般的に中性化弱酸性の水質を好むとされています。pH値6.0〜7.0のあたりを適正値として調整しましょう。pH値は、お魚の排泄物や流木などオブジェの投入によって常に変化します。定期的に検査キットで確認しましょう。

4)水槽内を改良しすぎない

初めて飼育する時はいろいろとお世話をしたくなりますが、熱帯魚にはよくない行動が『頻繁に水槽内を触る』ことです。熱帯魚が暮らす環境を良くしようと考えた行動が、実は熱帯魚の住む環境が変わってしまい、環境に順応しようとする熱帯魚にとって大きな負荷やストレスを生みます。水換えや清掃以外の時に、水槽内を改良するのはできるだけ控えましょう。

5)過密飼育を避ける

過密飼育はお魚たちにとって大きなストレスを生みます。弱いお魚や小さなお魚が、強いお魚や大きなお魚にいじめられて弱ってしまうケースも多々あります。おおよそ1匹あたり2リットルを目安に飼育数を考慮しましょう。

病気になったらどうする?!

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もし病気になってしまったら、まずは病気が他のお魚に広がらないよう隔離水槽を用意して隔離しましょう。その後、塩浴や薬浴で体力回復、治療を行いましょう。隔離水槽の外的環境も振動や騒音がなく、できるだけストレスフリーな環境を用意してあげましょう。

今回は、熱帯魚の病気についてご紹介しました。
最初に書いたとおり、熱帯魚が生き物である以上、病気の可能性をゼロにすることはできません。それだけに病気になりにくい飼育環境を用意し、日頃からお魚たちの健康に留意しましょう。健康なお魚たちは、人々を幸せな気持ちにする癒やしの存在になってくれます。ぜひ、熱帯魚飼育を楽しみながら、お魚たちに癒やされてください。