飼育を始めて数日後、水が白く濁ってしまった。または、何も原因が思い当たらないのに、急に白濁が発生した。
そんな経験をした方も多いのでは。コケの発生と違い、はっきりとした原因がないのが困りどころ。

本記事では、白濁りの主な原因である「無機物由来」と「有機物由来」の白濁りについて、まずは説明していきます。

水槽の白濁りを引き起こす原因

無機物由来(砂の粉や汚れ、流木のアクなど)

無機物由来の白濁りは、水槽に敷く砂の微粉末などにより起こり、水槽セッティング直後から発生します。特に白色系の砂は微粉末が水中に舞ったときに、濁りとして見えてしまうことがあります。レイアウトのために入れる岩や石などでも発生することがあります。この濁りは白濁り除去剤などを使用して、フィルターのマットでろ過させることで比較的簡単に除去することができます。

流木を入れた際にも黄色や茶色の流木の色素が染み出して、濁りのように見えることもあります。極端に着色されなければ直接の害はありませんが、景観は悪くなります。この場合は高性能活性炭など、色素まで吸着除去するグッズで解決することができます。

解決グッズを使った場合は、水はきれいに見えても、水槽内に汚れはとどまっていますので、水換えを行うことをおすすめします。

有機物由来(微生物、バクテリアの影響)

有機物由来の白濁りは、水中に微生物が浮遊するために起こるとされていて、水槽をセッティングして数日経ってから発生することもあれば、何の前触れもなく起こることもあります。飼育しているご本人からすると心当たりがまったくないので、対処しても再発するのでは、、、と心配してしまうと思います。

白く濁っているモヤモヤの正体は微生物ですから、この微生物がいなくならないと澄んだ水は戻ってきません。そして、その微生物は様々な種類同士が関係しあっているので、一つの対処法では解決しないこともあります。まずは以下の方法を試してみましょう。

1,水を換えてみる
飼育水を1/3-1/2程度交換してみます。それだけでバランスが改善して、白濁りが収まることがあります。但し、水を換えてもすぐには白濁りは収まらないので、1-2日程度様子を見てみます。それでも白濁り収まらない場合は水換えを2、3回繰り返してみましょう。

2,ろ過フィルターをチェックする
微生物のバランスはろ過能力の低下で崩れることがあります。ろ過フィルターのマットが極端に汚れていないか、をチェックするのはもちろん、モーターからの水量が落ちていないか、をチェックしましょう。

3,エアレーションを強めてみる
好気性と嫌気性の微生物のバランスが崩れている場合は、普段よりもエアレーションを強めてみます(但し、魚への負担になるような勢いは✕)。大きな養殖場や池でも同様で、水質悪化の改善には酸素をたっぷり供給することが解決につながる場合も、意外に多いのでお試しください。

4,砂を交換する
ほぼ水槽をリセット(立ち上げ直す)することに近くなり、作業もおおがかりになりますが、実際に砂の中の状態で水質を悪化させ、バランスが崩れている場合があります。砂を洗う、ということも一つの手ですが、新しい砂に交換して立ち上げ直す、ということも最終手段かもしれません。

さて、これらの対処法は「魚の数が適正」「定期的な水換えはしている」ということが前提です。しかし、まったく同じ管理をしていても、気温の変化など季節の変わり目は突然の白濁りの発生が起こることがあるのです。まずは上記の4ステップを順番に試してみてください。

 

水槽の中では何が起こっている? 白濁りの原因を探ろう!

顕微鏡で見てみよう!

有機物由来の白濁りが起こった場合、水槽の中はどのような状態になっているのか。
実際に、セッティング3日目で水が白く濁った水槽から採水し、顕微鏡で観察してみました。

【写真1】 サンプリングを行った白濁り水槽

 写真1.サンプリングを行った白濁り水槽

【写真2】
白濁りの原因生物(球菌の仲間と鞭毛虫の仲間)

【写真2.白濁りの原因生物(球菌の仲間と鞭毛虫の仲間)】

顕微鏡写真:倍率×200

【写真3】
白濁りの原因生物(繊毛虫の仲間)

【写真3.白濁りの原因生物(繊毛虫の仲間)】

顕微鏡写真:倍率×2

鏡検の結果、白く濁った水槽の水には球菌、鞭毛虫、繊毛虫の仲間が無数に存在していることを確認し、実際に微生物が原因であることが分かりました。
なぜこれらの微生物が増えてしまったのか。その原因は生物ろ過に大きく関係しています。

水槽の水をきれいにする、生物ろ過の流れ

水槽の水をきれいにする、生物ろ過の流れ

上記は一般的な生物ろ過の流れになります。

魚の糞や食べ残しのエサなど、有機物の汚れが初めに発生します。その汚れが、最初の微生物の働きによって、アンモニアになり、その後、別の微生物の働きによって、アンモニア→亜硝酸→硝酸と変化。最終的に窒素ガスとなって水中から出ていきます。

ろ過の流れの最初の部分である有機物の汚れ・ゴミを分解する微生物はたくさんの種類がおり、有名なところですとバチルス菌があります(納豆菌、枯草菌とも呼ばれています)。
バチルス菌が上手に増えてくれると、水は白く濁ることなく、ろ過が進んでいくのですが、先ほど顕微鏡で確認したような球菌の仲間などが増えてしまうと、白濁りなどの問題が起きてしまいます。
水槽をセッティングした直後は微生物がとても少ない状態です。バチルス菌のような有益な微生物をいかに増やすかが、その後に続くろ過までをうまく循環させる鍵になっていると言えます。

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微生物のろ過の仕組みを知り、能力の高い微生物を増やそう!

微生物がどのようにしてろ過を行っているかご存知ですか?
口で餌を食べているとお思いの方もいるかもしれませんが、実は、微生物は体の表面に酵素を分泌して、ろ過を行っています。例えばバチルス菌をモデルに見てみますと、分泌した酵素と有機物(タンパク質)を反応させ、エネルギー源として吸収し、その過程で吸収できなかったものがアンモニアとして排出されます。バチルス菌は口がないので、体の表面(細胞壁)から吸収しています。

また、同じ有機物を分解する能力を持つ微生物でも、種類によって分泌する酵素の量が違っています。酵素の分泌能力が高い種類ほど、少ない数でもろ過効率がよくなります。逆に酵素の分泌能力が低い種類だと、数をたくさん増やさなければなりません。

ここで気をつけなければならないのは、微生物の多くも酸素を使って活動するということです。ろ過を行うのにたくさん数が必要な、酵素の分泌能力が低い微生物が増えてしまうと、水中の酸素濃度が下がって、魚や他の微生物にも悪い影響を与えてしまうことがあります。
先ほど白濁りの原因となる事例として紹介しました球菌、鞭毛虫、繊毛虫の仲間などの仲間も、バチルス菌と同じく有機物の汚れやゴミをエサとしていますが、酵素の分泌能力が低い種類なのかもしれません。

以上を踏まえて、微生物の中でも能力の高い微生物を増やすことが大切ということがお分かりいただけたかと思います。

水槽の白濁りを解決する方法は?

ここまで、水槽の白濁りの原因を詳しく探ってきました。
では、実際に解決する方法はというと、有機物由来の濁りの場合、解決策はただ一つ「微生物のバランス」を整えることです!そのためにお勧めしたいのは、必要なバクテリア(サイクル)を直接添加する、もしくはバクテリアが出す酵素を補充する(コロラインオフクリア)、という方法。どちらも飼育水の崩れたバランスを整え、本来の理想的な環境に近づけてくれます。

この他にも、ろ過微生物(バクテリア)の特性を研究し、ジェックスでは様々なバクテリア商品を販売しています。これら商品をお使いいただくことで、魚にも人にも快適な観賞魚飼育が可能になりますので、ぜひ、試してみてください。

別記事にて、白濁りの具体的な対処方法についてご紹介しておりますので、是非ご参考にしてくださいね♪

 

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