○白濁りの正体
魚の飼育を始めて数日後、水が白く濁ってしまった経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。水が白く濁る原因は無機物由来と有機物由来の大きく二つに分かれます。
無機物由来の白濁りとは水槽に敷く砂の微粉末などによる起こり、水槽セッティング直後から発生します。これは物理ろ過(ウールマットなどにひっかける方法)で除去することができ、比較的簡単に対処することができます。
有機物由来の白濁りは水中に微生物が浮遊するために起こるとされていて、水槽をセッティングして数日経ってから発生します。有機物由来の白濁りは水をろ過する微生物のバランスを整えることで濁りが解消されるのですが、時間や飼育技術が必要になってきます。
この有機物由来の濁り、実は「いくら水を変えても収まらない」「ろ過材を変えたら急に濁った」という、問い合わせが多く、尚且つ解決が難しいお悩みの一つです。
〇解決策
この有機物由来の濁りの場合、解決策はただ一つ「微生物のバランス」を整えること。そのためにお勧めしたいのは、必要なバクテリア(ベストバイオ)を直接添加する、もしくはバクテリアが出す酵素を補充する(コロラインオフクリア)、という方法。どちらも飼育水の崩れたバランスを整え、本来の理想的な環境に近づけてくれます。
〇どんなことが水の中で起きているのか
実際にセッティング3日目で水が白く濁った水槽から採水し、顕微鏡で観察してみました。
写真1.サンプリングを行った白濁り水槽
顕微鏡写真:倍率×200
○生物ろ過の流れ
下記は一般的な生物ろ過の流れになります。
魚の糞や食べ残しのエサなど有機物の汚れが初めに発生します。ここで最初の微生物の働きによって、アンモニアになります。その後別の微生物の働きによって、アンモニア→亜硝酸→硝酸と変化していき、最終的に窒素ガスとなって水中から出ていきます。
ろ過の流れの最初の部分である有機物の汚れ・ゴミを分解する微生物はたくさんの種類がいます。有名なところですとバチルス菌があります(納豆菌、枯草菌とも呼ばれています)。先ほど見ていただいた水の白濁りの原因となる球菌、鞭毛虫、繊毛虫の仲間も同じく有機物の汚れやゴミをエサとしています。
バチルス菌が上手に増えてくれると、水は白く濁ることなく、ろ過が進んでいくのですが、先述したような球菌の仲間などが増えてしまうと、白濁りなどの問題が起きてしまいます。
水槽をセッティングした直後は微生物がとても少ない状態です。バチルス菌のような有益な微生物をいかに増やすかが、その後に続くろ過までをうまく循環させる鍵になっていると言えます。
○微生物のろ過の仕組み
微生物は体の表面に酵素を分泌して、ろ過を行っています。口で餌を食べているのではないのです。例えばバチルス菌をモデルに見てみますと、分泌した酵素と有機物(タンパク質)を反応させ、エネルギー源として吸収し、その過程で吸収できなかったものがアンモニアとして排出されます。バチルス菌は口がないので、体の表面(細胞壁)から吸収します。
○能力の高い微生物を増やすことが重要
同じ有機物を分解する能力を持つ微生物でも、種類によって分泌する酵素の量が違っています。酵素の分泌能力が高い種類ほど、少ない数でもろ過効率がよくなります。逆に酵素の分泌能力が低い種類だと、数をたくさん増やさなければなりません。
微生物の多くも酸素を使って活動します。ろ過を行うのにたくさん数が必要な種類の微生物が増えてしまうと、水中の酸素濃度が下がって、魚や他の微生物にも悪い影響を与えてしまうことがあります。
先ほど事例で紹介しました球菌、鞭毛虫、繊毛虫の仲間などは酵素の分泌能力が低い種類なのかもしれません。
ろ過微生物(バクテリア)の特性を研究し、ジェックスでは様々なバクテリア商品を販売しています。これら商品をお使いいただくことで、魚にも人にも快適な観賞魚飼育が可能になります。
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