インテリアオールインワンに必要な要素を洗い出す

開発の加藤さんとはしょっちゅう意見交換をしているので、現場で「こんなこと言われちゃったよ」と話しました。加藤さんの感性の高さで、すぐに意図が伝わったようです。

大阪本社に戻り、加藤さんがさっそく3Dプリンターで手のひらサイズの試作モデルをつくり、ワイワイ盛り上がりながらイメージを固めていきました。初めて見た感想は「かわいいカタチだな」という、女性でも許容できるようなイメージに早速仕上がっていました。ターゲットを定める中で男性、女性、という属性にこだわりすぎるのはよくありませんが、少なくとも家の中に置くもの、と考えたときに、許容される感性を考えることは重要です。

そして、カタチはOKとして、お部屋に置くモノとしての必要要素は、、、ということを改めて洗い出して、そこに対する解決策を加藤さん(開発担当)と設計担当と仮説建てしていきます。

①音を限りなく無音にする

オールインワン水槽から発生する「音」は大きく分けて2つあります。一つは水流の音。これは構造と水量の調整でほぼ無音にすることができます。そしてもう一つ厄介なのが「モーター音」です。水中モーターはマグネットモーターとも呼ばれ、コイル状に巻かれた線に電気を流すことで磁場をつくり、その中心にある磁石と一体型の軸が回転します。

コイル部分と軸部分の磁石は非接触なので、アクアリウムモーターとしては静音性能が高い構造ですが、一般的なAC電源タイプの場合、どうしても軸の微妙なブレや、モーター自身の微細な振動を抑えることが難しいという現実があります。

今回PERCOで採用したモーターはアクアリウム用としては初の「DC電源タイプ」。非常に静音かつ、振動をほぼ感じることがないレベルまで抑えることができました。こればかりは現物をご覧いただかないとわからないかもしれませんが、イベントや、店頭、またYouTubeの解説動画をチェックいただければと思います。ここは注目いただきたいポイントです。

PERCOの設計流量はとても少なく設定されています。水の流れる音はまったくといっていいほど「静か」。※流量調整はできません。

②『水槽の中には何も入れない(見せない)』をメインコンセプトに

グラスアクアタイプの容器を楽しもうとすると、もちろんそのままレイアウトをすることもできます。しかし例えばベタを飼育しようと思えばヒーターは必要になるし、水草を楽しもうとしてもできれば保温はしたい。本格派の人はCO2(二酸化炭素)を供給したいかもしれない。夏場、酸欠が気になればエアーポンプを使いたい、そんなことも多々あると思います。

もちろん自分なりの工夫で目立たせないようにすることも楽しみの一つですが、インテリアの要素も兼ね備えて「すべてをスッキリさせられたら」。それがこのPERCO(ペルコ)のメインコンセプトです。

PERCOの構造はシンプルです。水槽横のタワーにフィルターやオプションのヒーター、エアレーションやCO2拡散筒を収めてしまえば、ガラス水槽には一切配線やパイプ類などを入れることなく楽しめます。

③アクアリストが「楽しむ余地」をつくる

趣味としてアクアリウムを楽しむ人にとって、「完成されたもの」と「自分で完成させるもの」ではどちらが魅力的でしょうか。もちろん、「完成されているものをすぐに飾って楽しむ」のもアリだと思います。メーカーがつくる商品は、品質面では妥協なく完成されたものにすべきですが、楽しむための機能やカスタマイズ性を残すことで、購入後の模様替えやちょっとした一工夫で楽しみ続けることができるのではないでしょうか。

 

「掃除すら楽しんでしまう」…ガラス容器の中に機材を入れない発想とともに、水を抜く場合もガラス容器には触れずに、、、ということも可能に。もちろん砂利掃除などはガラス容器内から行う必要がありますが、小型水槽ならではの水換えの頻度は、U-TOWERから水抜きすることで圧倒的に簡便化されるのではないでしょうか。

「ライトを増設3倍の明るさに」…付属のフラッティは1台。でもライトは初めから最高3台まで増設できるように設計されています。CO2添加などでバリバリに水草を育てたいとか、お部屋のなかで圧倒的な明るさのインテリアとして目立たせる、、そんな楽しみ方もありそうです。

「テラリウムを楽しむ」…水位を落とした楽しみ方もOK。底面ろ過を優先されることで、U-TOWER内の低水位によるろ過効率ダウンを補うことができます。さて、どんな植物を、どんないきものと暮らしましょうか、、、