ファーガソンゾーンは、2010年にテキサスクリスチャン大学のゲイリー・ファーガソン博士によって考案されました。ファーガソン博士と彼の爬虫類学者チームは、15種の爬虫類が日常的に浴びるUV(紫外線)照射量のデータを収集しました。その後の論文では、これらの15種を日中の日光曝露量(熱環境調節行動)および微小な棲息環境の好みに基づき、4つのグループ、すなわち「ファーガソンゾーン」に分けています。
それぞれのゾーンに対応するUV照射量のガイドラインは、野生下でランダムに観察された個体の平均照度をもとに決められており、ゾーン1が最も少なく、ゾーン4が最も多い紫外線曝露量を示します。
英国・アイルランド動物園・水族館協会(BIAZA)は、ファーガソン博士の研究を基に、数百種におよぶ爬虫類および両生類にファーガソンゾーンを割り当てました。
14の動物園組織、爬虫類専門の飼育者、そして民間の爬虫類学者の協力を得て、合計254種が4つのファーガソンゾーンに分類されました。
4つのファーガソンゾーンの概要および対応するUVI勾配と代表的な飼育種の例
Cryptophotic Zone – Low
夜行性や明け方に活動したり、日陰を好むグループ
日光を避ける夜行性・薄明薄暮性の動物が多いゾーン平均 UVI: 0 ~ 0.7
最大記録 UVI: 0.6 ~ 1.4
主な種の例:クレステッドゲッコー、ヒョウモントカゲモドキ、ニシアフリカトカゲモドキ、コーンスネーク、ほとんどの両生類など
Mesophotic Zone – Medium
日向と日陰のバランスをとりながら時々バスキングを行うグループ
短時間の日光浴を行うが、長時間の直射日光は好まない動物が該当平均 UVI: 0.7 ~ 1.0
最大記録 UVI: 1.1 ~ 3.0
主な種の例:ロシアリクガメ、グリーンイグアナ、パンサーカメレオン、ミシシッピアカミミガメなど など
Euphotic Zone – High
日光を好み、バスキングを行うグループ
朝~午後の比較的強い日差しを好むバスキング動物が多い平均 UVI: 1.0 ~ 2.6
最大記録 UVI: 2.9 ~ 7.4
主な種の例:ギリシャリクガメ、ヘルマンリクガメ、エボシカメレオンなど
Heliophotic Zone – Very High
強い日光を好み、日中にバスキングを行うグループ
昼間の強い直射日光でのバスキングを積極的に行う種平均 UVI: 2.6 ~ 3.5
最大記録 UVI: 4.5 ~ 9.5
主な種の例:フトアゴヒゲトカゲ、サバンナモニター、トゲオアガマ、ヒョウモンガメ など
(参考:Ferguson et al. 2010、Baines et al. 2016)
バスキング行動やファーガソンゾーン、そしてこれまで研究されてきた対象種に基づくことで、どの種に対してもテラリウム内で適切なUVB照明を提供することが可能です。
適切な照明環境とは、「照明器具の種類選び」「UVB球の種類選び」「バスキングスポットまでの距離設定」の3つの要素を組み合わせることによって実現します。これらすべての要素が、爬虫類・両生類が受けるUVB量に大きな影響を与えます。

Exo Terra
コミュニケーションマネージャー

グリーンイグアナは、主に開けた場所や部分的に日光が差し込む場所でバスキングを行う種と考えられます(ファーガソンゾーン3に該当)。
※出典:Exo Terra ホンジュラス遠征調査より