豊かな自然と迫力ある海岸の崖に囲まれたレユニオン島。そこでひっそりと暮らすのは、小さく色鮮やかなマナパニーヒルヤモリ(Phelsuma inexpectata)です。
このヤモリは、レユニオン島だけに棲息する、とてもめずらしい種類です。人の手によって自然環境が変化したことにより、元々どこまで分布していたのかは、今ではよくわからなくなり、かつての棲息範囲の多くが姿を消したと考えられています。
現在、マナパニーヒルヤモリは南海岸付近、海から100メートル以内の狭い範囲で小さな棲息地を点在させながら、この神秘的なヤモリは今日も力強く生きています。

飼育されたマナパニーヒルヤモリの測定 ©NOI
最新の科学的モニタリングによると、この崖に残るマナパニーヒルヤモリはわずか数十匹しかいません。特に若い個体の死亡率が高く、新たな命が生まれても大人まで成長できる個体はごくわずか。今いる成体が年老いていくなか、人間の介入がなければ3~4年のうちに絶滅してしまう、そんな危機に直面しています。

プティ・イルのマナパニーヒルヤモリ(Phelsuma inexpectata)
この差し迫った状況に対し、NOIは画期的な「一時育成プログラム」をスタートさせました。管理された環境で幼体を成体になるまで育て、その後野生へ戻すという取り組みです。これにより、ヒルヤモリたちの数を増やしながら、なぜ彼らが減っているのかの原因究明や対策のための時間を稼ごうとしています。
このプロジェクトの一助として、Exo TerraはNOIにスクリーンテラリウムを寄贈しました。このテラリウムは幼いヒルヤモリたちが安心して成長できる空間を提供します。この緊急対策と、現在進行中の棲息地の再生、捕食者の駆除などの様々な手立てを組み合わせながら、地道な努力が続けられています。
これらの活動は、絶滅の危機に瀕したマナパニーヒルヤモリにとって、まさに未来をひらく希望の光であり、革新や協力が大きな力になることを私たちに教えてくれます。